02/24/2026 | Press release | Distributed by Public on 02/23/2026 18:31
2026/02/24
株式会社村田製作所
ソフトバンク株式会社
一般社団法人CC-Link協会
株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役社長:中島規巨、以下「村田製作所」)とソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川潤一、以下「ソフトバンク」)、一般社団法人CC-Link協会(本部:名古屋市北区、事務局長:濱口学、以下「CLPA」)は、高精度な時刻同期を可能にするTime-Sensitive Networking(TSN)を5G(第5世代移動通信システム)ネットワーク上で実現する技術である、TSN over 5G※1の接続実証に成功しました。通信事業者がTSN over 5Gの実証に成功したのは、世界で初めて※2です。
※1 TSN(Time-Sensitive Networking)は、IEEEで標準化された、イーサネット上でリアルタイム性を要する通信を実現するための一連の通信規格です。ジッター(通信の遅延のばらつき)を低減することで、複数の機器間の高精度な時刻同期を可能にします。TSN over 5Gは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)Rel.16で標準化された、TSNの機能を5Gネットワーク上で実現する技術です。
※2 2026年1月29日時点(ソフトバンク調べ)
工場や製造現場では、通信環境にリアルタイム性と高い信頼性が求められるため、これまで主に有線ネットワークが用いられてきました。しかし近年、スマートファクトリー化の進展により、多様な機器がネットワーク上で連携するようになった中で、設備の柔軟なレイアウト変更や保守性の向上などの観点から、産業用途におけるネットワークの無線化へのニーズが急速に高まっています。
特に、産業用途で用いられる高精度な時刻同期・低遅延通信技術「TSN」を5Gネットワーク上で実現する技術「TSN over 5G」への注目が高まっております。
このたび、村田製作所とソフトバンク、CLPAは、「TSN over 5G」の接続実証に成功しました。通信事業者による実証は世界で初めてであり、エンドユーザーによるこの技術の活用に近づきました。
今回の実証は、ソフトバンクが提供するプライベート5G環境にて実施しました。村田製作所は、通信モジュール事業により培った組み込み技術やソフトウエア開発の知見を活かし、「TSN」に対応している各産業機器を、5G通信にも対応させる「TSN Translator」のソフトウエアを提供しました。また産業用のオープンネットワークの推進団体CLPAが今回の実証の結果を評価しました。
今回の実証において、通信のリアルタイム性につながる時刻同期精度の計測として、「TSN over 5G」で用いられる時刻同期プロトコルのgPTPに基づき、情報を送信するネットワーク側機器と情報を受け取り処理する端末側機器との間で生じる時刻差を評価しました。
その結果、無線通信規格の3GPP Rel.16※3において要求される時刻同期精度900ナノ秒以下を大きく上回る、平均122ナノ秒の高精度な時刻同期を実現しました。
※3 3GPP Rel.16:3GPPが策定した、5Gの国際標準仕様。5Gのシステムを本格的に産業用途・低遅延用途へ拡張することを目的とし、ネットワーク性能、信頼性、低遅延性、周波数帯拡張、産業向け機能強化などを含む幅広い対応を図る。
また、工場や製造現場での稼働に向けた評価として、通信を送信側から受信側までシームレスにつなぐエンドツーエンドの制御環境における検証を、産業用機器を用いて実施しました。
その結果、情報を送信するネットワーク側と産業用機器間で、産業用イーサネット規格「CC-Link IE TSN認証Class B※4」の要求水準である、誤差1マイクロ秒以下の精度での時刻同期を保ちつつ、6時間を超える連続通信に成功しました。
なお、今回の実証の成果は、「MWC Barcelona 2026」のMurata Electronics Europe B.V.のブースで展示予定です。
※4 CC-Link IE TSN 認証 Class B:産業用ネットワークであり、高精度・リアルタイム通信を実現するための拡張イーサネット規格。その中で 認証 Class B は、通信精度や制御性能がより高いクラスとして定義されている。
時刻同期評価の構成図
産業用機器の接続構成図
今回の成果は、産業ネットワークの無線化にとどまらず、AI(人工知能)がロボットや設備と連携し、正確なタイミングで制御することが可能になるため、フィジカルAI※5 の実現に向けた基盤技術として活用を見込んでいます。村田製作所とソフトバンク、CLPAは今後、今回の実証で得られた知見を生かし、5Gを活用した新たな産業用途の創出やフィジカルAIの社会実装に向けた取り組みを進めていきます。
※5フィジカルAI:ロボットのセンサーやカメラ、外部のシステムから得た情報をAIが解析・判断し、その結果に基づいてロボットが柔軟で複雑な動きを行えるようにする技術のこと。
村田製作所は今後も、独自の技術力を基盤に、多様なステークホルダーの皆様との連携をより一層強化することで、既存事業の枠組みを超えた価値提供を進めてまいります。
村田製作所はセラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカーです。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献していきます。