05/27/2025 | Press release | Archived content
フィリピン・マニラ(2025年5月27日)― アジア開発銀行(ADB)の 2024年開発効果に関する民間部門業務報告書(2024 Private Sector Operations Report on Development Effectiveness) によると、ADBは2024年に、前年比45%増で過去最多となる58件の民間セクター事業に対し、26億ドルの資金をコミットした。プログラム、プロジェクト、協調支援を含むコミットメントの総額は過去最高の80億ドルに達し、アジア・太平洋地域全体で民間セクター主導の開発とイノベーションを推進する上でADBが果たす役割が拡大していることが明らかになった。
民間パートナーとの長期協調支援は2024年に36億ドルに達し、その内訳は、プロジェクト協調支援が34億ドル、マイクロファイナンス・プログラムからの長期協調支援が2億ドル、ADBベンチャーズからが740万ドルとなっている。さらに、市場開発・官民連携部の事業に対して21億ドルの協調支援が行われた。これはADBの資金1ドルあたりに対し2.60ドルの協調支援がなされたことになる。さらに協調支援を強化するため、ADBはカナダ政府と提携し、気候変動に焦点をあてた民間セクター事業を支援するための信託基金、アジア民間セクターのためのカナダ気候・自然基金(Canadian Climate and Nature Fund for Private Sector in Asia)を設立した。
ADBのバルガヴ・ダスグプタ副総裁(マーケット・ソリューション担当)は、「これらの素晴らしい成果は、開発途上国が政策環境の変化に対応し、経済リスクを管理するうえで、ADBの機動的かつ革新的な民間セクターへのアプローチがいかに貢献しているかを示している」とした上で、「ADBは今後も、民間セクター開発の障壁を取り除き、市場を深化させ、インクルーシブな成長を促進する革新的なソリューションを提供することに注力していく」と述べた。
2024年にコミットされたプロジェクトにより期待される成果は、8,694ギガワット時の電力供給、16万4,475人への研修実施と100万の中小・零細事業への支援、56万4,525トンの農産物の生産、1万世帯への水の供給、年間1,000万トンの二酸化炭素換算の温室効果ガス排出量の削減である。
ADBが実施中の民間セクター向けプロジェクトでは、4,430万の中小・零細企業(うち4,230万は女性が所有または経営)および約870万の農業従事者に恩恵をもたらした。現在の業務により、82万6,784人の雇用が創出され、そのうち14万5,629人が女性となっている。エネルギー分野では、ADBのプロジェクトにより年間7万28ギガワット時の電力が供給され、年間最大2,350万トンの二酸化炭素換算の温室効果ガス排出量が削減された。
ADBは、組織戦略「ストラテジー2030」の中間レビューにおいて、民間セクターとの連携拡大の重要性を改めて確認した。2024年には、民間部門業務がADB全体の業務の30%を占め、引き続き前向きな軌道を維持している。投資は、アグリビジネス、金融、エネルギー、交通・運輸、産業、水およびその他の都市サービス、保健・教育、情報通信技術など、幅広い分野に及んでいる。
ADBは、アジア・太平洋地域の持続可能でインクルーシブかつ強靭な成長の促進に向けて取り組む主要な国際開発金融機関である。ADBは、加盟国・地域やパートナーと緊密に連携し、複雑な課題に対応するために革新的な金融手段を駆使し、戦略的パートナーシップを通じて地域の人々の生活向上や質の高いインフラ整備を進めるとともに、地球環境の保護にも貢献している。ADBは1966年に創立され、50の域内加盟国・地域を含め69の加盟国・地域によって構成されている。