10/20/2026 | Press release | Distributed by Public on 10/19/2026 19:12
2026.10.20
Vol.27(2026年10月号)では、「専門性がひらく新たな選択肢。」をテーマに、在宅医療における薬剤師の取り組みを特集。医師との同行訪問による多職種連携や、薬剤師複数名による訪問対応など、患者さま一人ひとりにより適した支援を届けるための事例をご紹介します。そのほか、服薬管理をサポートするサービス「一包化」や、高校生インターンシップの様子も掲載しています。
病気の進行や生活環境の変化にあわせて、薬や治療法の見直しが必要になることがあります。新たな治療の導入には、患者さまご本人だけでなく、ご家族や医療・介護に関わる多くの専門職の支援が欠かせません。今回は、アイセイ薬局 小岩駅前店(東京都江戸川区)が担当するパーキンソン病患者さまの事例です。医師の訪問診療にあわせて多職種が患者さま宅を訪問し、導入時の状況や支援方針を共有。それぞれの専門性を持ち寄りながら、新たな治療導入を支えた連携の様子をお伝えします。
同時訪問を提案した店長・薬剤師の橋本薫子、実際に患者さまを担当している薬剤師の石﨑怜汰に話を聞きました。
――患者さまの状況
石﨑:80代女性の患者さまで、パーキンソン病により身体機能の低下がみられるため、在宅対応をしています。パーキンソン病では薬物療法が治療の中心となりますが、その中でも「L-DOPA」と呼ばれる薬が最も重要です。このL-DOPAの効果が切れると、体を動かしにくくなる「オフ」と呼ばれる状態になってしまいます。この患者さまは、「オフ」の時間が長くなり、日常生活への影響もみられるようになっていたので、24時間継続してL-DOPAを投与する「持続皮下注射」製剤への変更が検討されていました。
――医師同行に至った経緯
橋本:今回、初めての持続皮下注射であり、開始後は薬学的フォローが増えることも予想されました。そのため、導入時の状況を実際に確認し、今後起こり得る課題を把握しておきたいと考え、訪問診療への同行を提案しました。
日頃から医師・訪問看護師・ケアマネジャー等とICTツールを活用して情報共有を行っていたこともあり、医師の訪問日にあわせて関係職種全員が集まることになりました。皆が実際の穿刺部位や機器の状態を確認・共有することで、それぞれの専門的な視点から患者さまをサポートできる体制づくりにつながったと考えています。
――導入に向けた準備と多職種のサポート
橋本:新規治療導入の直後に「やっぱり合わない気がする」と、元の治療法に戻るケースも多くあると聞いていました。特に、今回の持続皮下注射では、患者さま自身が機器の操作や薬液の管理を行う必要があり、ポンプを携帯するなど日常生活にも影響があります。そのため、ご本人やご家族が十分に納得し、安心して治療を始められるよう、説明や相談を重ねました。多職種でも情報共有を行いながら約3カ月かけて準備を進めました。
――その場で処方提案、医師同行で見えたメリット
石﨑:パーキンソン病の影響で手の動作が少し不自由な中で、「便秘薬の滴下製剤が使いづらい」というお話がありました。そのため、医師に飲み薬への剤形変更を提案し、その場で処方変更につながりました。普段は電話でのやり取りが中心のため、患者さまの様子を見ながら医師と直接相談できる機会は多くありません。同行時には、治療方針についてその場で情報交換や提案ができたことも大きなメリットでした。
また、実際の手技や機器の使い方を確認できたことで、患者さまやご家族から相談を受けた際はもちろん、多職種で情報共有する際にも、より適切な対応につなげられると感じています。
――導入後の患者さまの状況
石﨑:患者さまの「オフ」の時間には改善がみられ、ご本人も治療を続ける意義を感じていらっしゃるようです。現在も患者さまにとって最適な状態を目指して調整を続けていますが、導入前にご本人・ご家族と十分に相談し、多職種で準備を重ねたこともあり、大きなトラブルなく治療を継続されています。
――今回の事例から見えてきた薬剤師・医師の同行が有効だと考えられるケース
石﨑:お薬が大きく変わる時や、変更後の様子を確認したい時に有効だと感じています。
橋本:今回のような新しい治療の導入時だけでなく、体調や処方内容が安定しない患者さまにも有効だと考えています。また、高齢化などにより、ご自身の状態や服薬状況の把握が難しくなってきた患者さまについても、医師と一緒に状態を確認することで、より適切な支援につなげられると思います。
――在宅医療に携わる上で大切にしていること
石﨑:医師や訪問看護師、介護職など関係者の皆さんと良い関係ができると、いろいろな提案や相談もしやすくなります。皆で支えていけることが、患者さまにとっても一番良い形だと思います。
医師や看護師、薬剤師、ケアマネジャーなど、多くの専門職がそれぞれの立場から患者さまを支える。在宅医療では、その連携が患者さまの安心につながっています。
【解説】
-2026年度診療報酬改定で新設-「訪問薬剤管理医師同時指導料」
医師と薬剤師が患者さまのご自宅等を一緒に訪問し、状態や服薬状況を確認する取り組みを評価する制度が新設されました。医師と薬剤師が専門性を持ち寄り、処方内容についてその場で検討できることに大きな意義があります。ポリファーマシーの解消や残薬の削減、服薬アドヒアランスの向上を目的とし、患者さまにとってより適切な薬物療法につながることが期待されています。
アイセイ薬局 小岩駅前店
東京都江戸川区南小岩7-24-20 FIRSTA I 2F
患者さまの安全な服薬支援のために、薬剤師複数名での在宅訪問が必要な事例があります。2026年度診療報酬改定では、このような取り組みを評価する「複数名薬剤管理指導訪問料」が新設されました。以前から患者さまの状況に応じて薬剤師2名による対応を続けてきた宮崎台店(神奈川県川崎市)。その事例を通じて、薬剤師複数名による訪問の必要性や現場で感じているメリットについて、店長・薬剤師の川島匠に話を聞きました。
――複数の薬剤師で訪問することになった経緯
川島:もともと当店をご利用いただいていた80代男性の患者さまで、お薬の管理が難しくなったことをきっかけに、在宅療養へ移行されました。在宅訪問の開始時に、ケアマネジャーから「支援にあたっては慎重な対応が必要なケース」と情報共有がありました。実際に多職種に対してハラスメントにつながるような言動もみられたため、患者さまに必要な服薬支援を行いながら、訪問するスタッフの安全にも配慮する必要がありました。そのため、ケアマネジャーや多職種と情報共有を行いながら、薬剤師2名で訪問する体制を取っています。
――実際に複数名で訪問してみて感じるメリット
川島:患者さまの表情や行動の変化を複数の視点で把握できることが大きなメリットです。また、不安定な状況でも落ち着いて対応しやすく、安全面の確保につながっています。一人が患者さまとの会話や服薬状況を確認している間に、もう一人がお薬や残薬を確認できるため、確認漏れの防止につながります。患者さまへの支援と、薬剤師が安心して訪問できる環境づくりの両面で意義があると感じています。
――今回の改定について感じていること
川島:患者さまの状況を考えた結果、必要な支援として以前から取り組んできました。その取り組みが制度として評価されたことは、とてもありがたいと感じています。今後も、患者さまの安全確保や適切な服薬支援につながる場合には、活用していきたいと思います。
薬剤師複数名による訪問は、より適切な服薬支援と安全な訪問体制の両立につながる取り組みです。今後も多職種と連携しながら、患者さまに寄り添った支援を続けていきます。
【解説】
-2026年度診療報酬改定で新設-「複数名薬剤管理指導訪問料」
在宅訪問を行う薬剤師が他の職員とともに患者さま宅を訪問した際に算定できる制度です。患者さまが行動面での運動興奮等がみられる状態にあるなど、薬剤師単独で訪問した際に安全かつ確実な服薬支援や薬学的管理の実施が困難なケースを対象としており、安全を確保しながら必要な支援を継続することを目的としています。
アイセイ薬局 宮崎台店
神奈川県川崎市宮前区宮崎2-10-2
アイセイ薬局グループでは、未来を担う子どもたちのキャリア教育支援として、また薬局・薬剤師の仕事や役割に対する理解を深めていただけるように、職業体験の受け入れを行っています。
今夏、愛知県名古屋市にある南山高等学校女子部の1年生が、市内3店舗で3日間のインターンシップに参加。調剤業務の見学・体験に加え、地域連携や在宅医療、無菌調剤についても学び、地域医療を支える薬剤師の幅広い役割に触れました。
参加した生徒は、当初「勉強ができれば務まる仕事」というイメージを持っていたそうですが、実際に現場で働く薬剤師と接する中で、その印象は大きく変わったと話してくれました。「人と話す仕事で、国語力やコミュニケーション力が必要だと感じました。患者さん一人ひとりに合わせて説明したり、話を聞いたりしている姿が印象的でした。マニュアル通りに説明するだけではなく、患者さんと向き合って会話をすることは、AIにはできない大切なことだと思いました」
日報には「相手の顔を見て話を聞くことを意識した」「普段より積極的に話せるようになった」と記されており、自身でも新たな発見につながったようです。
また、患者さまに合わせた薬を飲みやすくするための工夫も印象に残ったそうです。
「子どもの頃、粉薬を甘いものと一緒に飲んで余計に苦く感じたことがありました。でも服薬補助ゼリーのような工夫や、薬剤師のアドバイスで飲みやすくできること、薬剤師は薬をつくって渡すだけではなく、患者さんがきちんと服用できるよう支えていることを知りました」
プログラムでは薬局内の業務だけでなく、薬剤師が患者さまのご自宅や施設を訪問し、服薬状況の確認や医療・介護職との連携等を行う在宅医療についても学びました。さらに、無菌調剤の見学・体験では、高度な専門性が求められる業務にも挑戦しました。
担当した薬剤師は、「学校の授業や部活動で身に付けた知識と実際の業務を結び付けながら理解していて、とても飲み込みが早かった」と振り返ります。そして、今回伝えたかったのは、業務内容だけではありません。「薬剤師の仕事では、なぜ確認が必要なのか、気を付けないと何が起きてしまうのかを考えることが大切です。見えている範囲だけでなく、その先にいる患者さまや社会とのつながりにも目を向けてほしい。今回の体験が、そのきっかけになればうれしいです」
受け入れた薬剤師たちにとっても、高校生の素朴な疑問やまっすぐな視点は、自らの仕事を見つめ直す機会になったようです。今回の体験が、将来の進路だけでなく、地域医療や薬剤師の仕事を身近に感じるきっかけとなることを願っています。
薬の種類が多くなると、「飲み忘れそう」「管理が大変」といった悩みを抱える方は少なくありません。そんなときに役立つのが「薬の一包化」です。一包化とは、同じタイミングで服用する複数の薬を1回分ずつまとめて包装する方法。服薬の管理がしやすくなり、飲み忘れや飲み間違いの防止につながります。
最大のメリットは、服薬管理がしやすくなることです。服用するタイミングごとに薬が1つの袋にまとまっているため、飲み忘れや飲み間違いの予防につながります。袋には「朝食後」「寝る前」などのタイミングや日付を印刷できるため、いつ飲む薬なのかが一目でわかります。実際に利用されている方からは、「薬をきちんと飲めるようになった」「親が薬を飲んでいるか確認しやすくなった」という声も寄せられています。
複数の医療機関から別々に処方された薬を服用している場合でも、飲むタイミングが同じ薬であれば一包化できるケースがあります。薬剤師にご相談ください。
一包化すると、PTPシートから薬を取り出す必要がないため、シートの誤飲リスクの軽減につながります。また、手先の力が弱い方や指先を細かく動かしにくい方、視覚障害のある方にとっても、服薬時の負担軽減に役立ちます。
※錠剤やカプセルを1錠ずつ包んでいるシート
患者さまごとに、薬の飲み方や困りごとはさまざまです。アイセイ薬局では、一包化を単に薬をまとめるサービスではなく、一人ひとりが無理なく服薬を続けられるようサポートする仕組みとして提供しています。
薬の種類や患者さまの状態に応じて、一包化の方法を工夫することもあります。必ずしも毎日飲まなくてよい薬や調節する薬(例:便秘の時だけ服用する薬)などを別に包装したり、同じ服用タイミングの漢方などを一緒にまとめたりしています。また、錠剤が飲み込みにくい人に対しては、粉薬・粉砕への変更や、お湯で溶ける錠剤への変更を提案したりするなど、安全に服薬できるよう配慮しています。
薬の管理に不安を感じたら、まずは薬局・薬剤師にご相談ください。一包化をはじめ、一人ひとりに合った方法を薬剤師がご提案します。
一包化のしくみや利用時の注意点などについては、健康情報ウェブ「HELiCO」をご覧ください。
一人ひとりの暮らしに寄り添うために。患者さまやご家族の思いを大切にしながら、多職種が専門性を結集する在宅医療の現場。今回ご紹介した取り組みは、その一例です。専門性がひらく新たな選択肢が、これからも地域で暮らす皆さまの安心につながっていくことを願っています。
株式会社アイセイ薬局
コーポレート・コミュニケーション部 担当:原田
TEL:03-3240-0250 E-mail:[email protected]
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