06/10/2025 | Press release | Distributed by Public on 06/10/2025 18:32
第10回 東京財政フォーラムにおける岡村健司副専務理事による冒頭挨拶
2025年6月10日
おはようございます。第10回東京財政フォーラムにようこそおいでくださいました。
まず、共催者である日本の財務省とアジア開発銀行研究所の素晴らしいご協力、そして日本政府の手厚いご支援に感謝いたします。
昨年のフォーラムで私は、公的債務の高さと成長の弱さという点が特徴である環境下における歳入徴収と歳出の効率性について話しました。
それ以降、大きな政策転換が起こり、貿易摩擦が激化し、市場の混乱につながりました。4月初旬には短い期間、動揺さえも見られました。緊張は和らぎましたが、政策の不確実性は高いままです。
不確実性の高まりは、金融環境のタイト化と相まって、成長見通しの重しとなり、債務水準がすでに高い国々において債務リスクが増幅しています。実際、最近公表されたIMFの「財政モニター 」 では、不確実性が大幅に高まるため、公的債務が中期的に対GDP比で約4.5%増加する可能性があると試算されています。
そのため、本日の議論は財政枠組みに焦点を当てています。急速に状況が変化する環境において、各国は自国の財政を立て直すことを優先しなければなりません。アジア太平洋地域の国々にも言えることです。
中国を除くアジア太平洋地域の公的債務水準は、2007年と比較して平均で対GDP比20〜26%高くなっています。これにより、高齢化や開発ニーズ、自然災害によって増大する支出圧力を管理することがより難しくなります。
財政枠組みの強化は、域内の政府が長期的課題に取り組み、不確実性に対する財政バッファーを構築する上で有益です。債務水準が高い国や債務が増加している国にとっては、混乱を招く財政調整を回避しつつリスクを軽減するのに役立ち、最終的には長期的な成長見通しを改善することになるでしょう。
これについて、著名なパネリストからもっと話しを聞けることを楽しみにしています。
明日のフォーラムでは、ガブテックと、各国政府がデジタル化の可能性を最大限に引き出す方法に焦点を当てます。アジア太平洋地域におけるデジタル製品・サービスの需要と発展は急速に加速しており、他のほとんどの地域のペースを上回っています。しかし、公共財政の効率を上げるべく、AIのような新しいテクノロジーを取り入れるためにできることがまだまだあります。
明日のセッションでは、パネリストがいくつかの最新のテクノロジーを採用した経験を共有します。
このふたつの課題について、IMFは支援できる準備ができています。アジア開発銀行および世界銀行と協力し、また、グローバル公共財政パートナーシップを通じて、私たちは技術支援を強化しています。そうは言っても、このフォーラムは皆さんから話を聞く機会です。皆さんのニーズを支援するために、私たちの助言をより良く調整する方法について、いかなるご意見も歓迎します。
現在のように不確実性が高い時期には、財政政策が信頼と安定のアンカーとなり得るのです。堅固な財政枠組みにおける慎重な政策は、すべての人に成長と繁栄をもたらすことができます。
締めくくる前に、ヴィトールのリーダーシップとこのフォーラムへの貢献に感謝したいと思います。ヴィトールが財政局長として参加するのは今回が最後ですが、このフォーラムの創設者としての功績は今後も残ります。
それでは、会議の主催者にお話いただきます。これからの2日間、実りある議論をお祈りします。
ご清聴ありがとうございました。