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11/12/2024 | Press release | Archived content

アジアにおける脱炭素化投資の機会拡大に向け、ブラックロックとシンガポール金融管理局が新たな協力体制を先導

2024年11月12日、バクー及びシンガポール―国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)において、ブラックロック、シンガポール金融管理局(MAS)、国際金融公社(IFC)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、日本貿易保険(NEXI)及びAIAグループ(AIA)は今般、東南アジアを中心とするアジアにおいて、企業の脱炭素化プロジェクトへの大規模な投融資機会を求めているグローバル投資家に対し、ブレンド・ファイナンスを用いたデット・イニシアチブで協働していく意図表明文書に署名しました。

今回協力の軸となる「産業変革へのインフラ・デット・プログラム」は、シンガポール政府がCOP28で発表したブレンド・ファイナンスのイニシアチブ「アジアのトランジション(脱炭素化への移行)融資パートナーシップ(FAST-P)」の一環で立ち上げられました。FAST-Pは東南アジアにおける脱炭素化への移行に資金を提供すべく、慈善団体や官民のパートナーから最大50億米ドル規模を動員することを目指しています。

東南アジアは脱炭素化への資金ギャップに直面しています。IFCと国際エネルギー機関(IEA)の共同報告書によると、東南アジアにおけるクリーンエネルギーへの年間投資額(官民合計)は2022年時点で300億米ドルですが、増加するエネルギー需要に対応するためには2030年代初頭までに8倍以上となる年間2,080~2,440億米ドルまで拡大する必要があると試算されています。FAST-Pの産業変革プログラムは、投資家が主に東南アジアでの脱炭素化プロジェクトにアクセスするための資金調達ソリューションを模索し、国、企業、投資家及び慈善団体が脱炭素化の目標を実現できるようにしていきます。また、脱炭素化プロジェクトの支援にさらなる譲許的または商業ベースの資金の誘引も目的に据えています。

本意図表明文書の下、署名企業・団体は(1)排出削減が困難なセクター、(2)低炭素化移行のためのテクノロジー・ソリューション、(3)産業的な成長機会などの分野におけるプロジェクトを含め事業の脱炭素化に取り組む民間の借り手に対してデット・ファイナンスを提供する相互に有益な機会を模索していきます。

ブラックロックはインフラ投資分野における業界リーダーであり、主要なインフラ市場やセクターを網羅する約1,700億米ドルの運用資産残高を有しています。

「東南アジアの新興市場において、脱炭素化のような資本集約的なプロジェクトの資金調達は、ハードルが高くなっています。ブラックロックはFAST-Pのような官民パートナーシップ下で、ブレンド・ファイナンスとトランジション投資に関する専門的な知見を活かし、顧客、そして投資先である社会に利益をもたらしていきます」とブラックロックのグローバル・クライアント・ビジネス責任者であるマーク・ウィードマン氏は述べています。

「アジアのネットゼロ達成に向け、炭素集約的または排出削減が困難なセクターを含め、経済全体を着実に脱炭素化していく必要があり、そのために重要な枠割を果たすのが、よりクリーンな技術やプロセスに取り組む企業やセクターへの融資です。今回の意図表明文書への署名は、アジアにおける脱炭素化社会への移行を加速させる重要な一歩となります。ブラックロック、IFC、MUFG、NEXI、AIAがFAST-Pにパートナーとして参画してくれることを嬉しく思います」とMASのマーケッツ&デベロップメント担当デピュティ・マネージングディレクターであるレオン・シン・チョン氏は述べています。

「東南アジアにおいて、気候変動は環境の安定性、経済成長、人間開発に大きな影響を及ぼしており、非常に重要な事項となっています。今回のイニシアチブは、アジア太平洋地域の新興市場や発展途上国において、低炭素でレジリエントかつ包摂的な経済成長への移行を加速させるため、資金が最も必要とされる分野に投資家の資金を届けるという重要な役割を果たします。MAS、ブラックロック、その他のパートナーと協力できることを嬉しく思います」とIFCのアジア太平洋地域担当副総裁であるリッカルド・プリーティは述べています。

「FAST-Pでの協力の下、アジアの持続可能な発展の加速を支援するイニシアチブに参加できることを嬉しく思います。FAST-PはMUFGにとっても非常に重要なプラットフォームです。アジア地域におけるエネルギー移行の促進に貢献したいと考えています」とMUFGの執行役専務でグローバルCIB事業本部長を務める中濱文隆氏は述べています。

「アジアを代表するリーディング・アセットオーナーとして、AIAはブラックロック、MAS、その他のパートナーと脱炭素化に向けた本イニシアチブで協力し、ブレンド・ファイナンスのさらなる可能性を探求できることを嬉しく思います。AIAは、SBTイニシアチブ(SBTi)による認証を受けた短期的な排出削減目標などを通し、脱炭素化へのコミットメントを強めており、今回の連携は、AIAがSBTi認定目標の実現に加え、適切な移行機会への資金提供に広範に取り組んでいくという姿勢を示すものです」とAIAのグループ・チーフ・インベストメント・オフィサーであるマーク・コーニン氏は述べています。

ブラックロックについて

ブラックロックのパーパスは、より多くの方々が豊かな生活を送ることができるよう、サポートすることです。お客様の資金を預かり運用するフィデューシャリーとして、また金融テクノロジーにおけるリーダーとして、投資をより簡単に、手頃にすることで、何百万人もの人々の生涯を通じた資産形成を支援しています。ブラックロックに関する詳細は、www.blackrock.com/corporateをご覧ください。

MASについて

シンガポール金融管理局(MAS)はシンガポールの中央銀行及び統合金融規制機関です。MASは中央銀行として金融政策に加え、緊密なマクロ経済の監視と分析を通じ、インフレなき持続的経済成長を促進するほか、シンガポールの為替レート、外貨準備高、銀行セクターの流動性を管理しています。また、総合金融監督機関として、MASは銀行、保険会社、資本市場仲介業者、金融アドバイザー、金融市場インフラなど、シンガポールのすべての金融機関を慎重に監督することによって、健全な金融サービスセクターを育成しており、金融市場の健全な機能の維持と健全な行動の監督、投資家の教育も管轄しています。また、MASは金融業界と協力してシンガポールをダイナミックな国際金融センターとして推進しており、金融業界のインフラ整備、テクノロジーの導入、スキル向上の促進にも取り組んでいます。

シンガポールが主導するブレンド・ファイナンス・イニシアチブ「アジアのトランジション(脱炭素化への移行)融資パートナーシップ(FAST-P)は、世界の主要な公的機関、民間企業、慈善団体との協力の下、アジアにおけるトランジション、そして融資が困難なグリーンプロジェクトに対し、リスクを低減しつつ資金を提供すべく、最大50億米ドル規模を動員することを目的としています。FAST-Pは、国際開発金融機関、ソブリン機関、慈善団体、金融セクターなどのステークホルダーを結集してアジアの脱炭素化を支援し、ブレンド・ファイナンスの主流化を通じて資金ギャップの縮小を図るほか、アジアの経済成長と気候変動へのレジリエンス強化を支援しています。

MUFGについて

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、世界で有数の総合金融グループです。東京に本社を置くMUFGは、360年以上の歴史と40ヶ国以上約2,000ヶ所のグローバルなネットワークを有しています。MUFGは120,000人以上の従業員を擁し、銀行、信託、証券、クレジットカード、消費者金融、資産運用、およびリースなどのサービスを提供しています。MUFGは、傘下の事業会社間の密接な連携と顧客のあらゆる金融ニーズへの柔軟な対応を通して「世界で最も信頼される金融グループになる」ことを目指しており、社会に貢献するとともに、より良い世界に向けて持続可能な成長を促進しています。MUFGは東京、名古屋、およびニューヨークの各証券取引所に上場しています。詳細は、https://www.mufg.jp/englishをご覧ください。

NEXIについて

日本の公的輸出信用機関であるNEXIは、輸出者と投資家に対し、輸出または海外投融資に伴う不確定リスクをカバーする三種類の保険商品(輸出・投資・融資)を通じた保証の提供により対外取引を支援しています。詳細は https://www.nexi.go.jp/en/index.htmlをご覧ください。

AIAについて

AIAは、アジア最大の独立系上場生命保険グループです。総資産約2,860億米ドルを有しており、18市場で事業を展開しています。現在のAIAの前身は1世紀以上前の1919年に上海で創業されました。日本を除くアジア市場において生命保険料ベースで業界をリードしており、各国市場でもその多くでで主導的な地位を占めています。2024年6月30日時点で2,890億米ドルの総資産を有しています。AIAに関する詳細は、www.aia.comをご覧ください。

IFCについて

世界銀行グループの一員であるIFC は、途上国の民間セクターに特化した世界最大規模の国際開発機関です。途上国で市場と機会を創出するため、IFCは持てる資金、知見そして影響力を活かし、世界100カ国以上で活動しています。2024年度、IFCは途上国の民間企業と金融機関に対し、過去最高となる560億米ドルの投融資を承認し、居住可能な地球において貧困のない世界の実現に向け、民間セクターによる解決策の活用や民間資金の動員に取り組んでいます。詳細は www.ifc.orgをご覧ください。

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