07/10/2025 | Press release | Archived content
2025年7月10日、イタリア、ローマ―国際金融公社(IFC)は本日、ウクライナの民間セクター支援と再建努力の加速に向け、一連の新たな取組みを発表しました。ウクライナ復興会議で発表されたこれらの取り組みは、喫緊の資金ニーズへの対応、エネルギー安全保障の強化、エネルギーやテクノロジーといった重要セクターにおけるイノベーションの促進を目的としています。
ロシアの侵攻が続く中、ウクライナの民間セクターは非常に高いレジリエンスを発揮し続けており、2025年5月時点で企業の約3分の2がフル稼働、またはそれに近い状態で操業しています。しかし、企業は依然としてセキュリティ上の問題や人手不足、投入コストの上昇などの課題に直面しています。完全な復興には、健全な構造改革と国際社会の強力な支援に加え、民間投資の大幅な増加と生産性の向上が必要となります。世界銀行グループの一員として、IFCは欧州復興開発銀行(EBRD)や、ウクライナ支援に関わる他パートナーと連携し、EU加盟を見据えた民間セクター主導型の経済改革を推し進めています。
IFCは本日、機関投資家の支援を受けるウクライナ初のアーリーステージ・ベンチャーキャピタルファンド、Flyer One Ventures Fund Vに対し、最大500万ユーロの出資を発表しました。同ファンドにはEBRDも650万ユーロの出資を行います。IFCの出資分には、日本政府がウクライナのためのエコノミック・レジリエンス・アクション(ERA)プログラムを通じて提供する最大300万ドル相当の資金も含まれています。同ファンドは、エンタープライズ・ソフトウェア、エドテック(EdTech)、フィンテック、消費者向けテクノロジーなどのセクターにおいて、ウクライナのアーリーステージのスタートアップへの投資を中心に行っていきます。IFCは今回のアンカー投資を通じ、ウクライナ国内でベンチャー・キャピタルのエコシステム発展を加速させるほか、高度人材の国内定着およびテクノロジー・セクターへのさらなる民間資本の誘致を目指しています。
IFCとEBRDは、国内のプライベート・エクイティ・ファンドへの投資に向けた準備も進めています。両機関はウクライナのファンドマネージャーと連携し、資金動員を目的に投資適格なプライベート・エクイティ案件の開発に取り組んでおり、インフラ、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタルのセクターで総額6億ユーロ超の資金調達を目指しています。これらの取り組みは、製品やサービスの近代化・拡充を支える投資の基盤を築くことで、ウクライナ経済の高い潜在力を世界の投資家に向けて力強く発信していくことが期待されています。また、単独の機関では対応が難しい、同国の深刻なエクイティ資金不足の解消にも寄与する見込みです。
さらに、IFCと欧州委員会(EC)は、ウクライナの復興・再建に不可欠なセクターへの支援を目的に、技術支援とともに、ベンチャー・キャピタルおよびプライベート・エクイティ・ファンドへのエクイティおよび準エクイティ投資、直接投資を後押しするため、1億500万ユーロ規模のBetter Futures Program (BFP): High Impact Equity Guarantee Programに署名予定であることを発表しました。同エクイティ保証プログラムは、民間セクターによる総額10億ユーロ超の投資を可能とし、ウクライナ国内で強く求められているエクイティ投資の動員につながることが期待されています。また、IFCとECは、2024年にウクライナ復興会議で発表された3億5,000万ユーロ規模のBFP保証の実施を後押しするため、1,750万ユーロ規模の技術支援にも署名予定です。
ウクライナの喫緊のエネルギー需要に応えるため、IFCはOKKOグループによる同国2件目の陸上風力発電のグリーンフィールド・プロジェクトへの新規融資を検討しています。このプロジェクトは、IFCが6,000万ユーロの資金パッケージを表明した、同社初の147メガワット規模の風力発電プロジェクトに続くものです。現在はデューデリジェンスが進められており、IFCの経営陣および理事会の承認を待つ段階にあります。
また、IFCは、Scatec、FMO、Swedfund、ウクライナ経済省とともに、同国のエネルギー・セクターにおける人材不足を解消するため、ハイブリッド型研修プログラムのPower Women Ukraineを立ち上げる覚書に署名しました。同プログラムは、オンライン学習、現地視察、インターンシップなどを通じ、女性がグリーンエネルギー、リーダーシップ、プログラム・マネジメントに関するスキルを身につける機会を提供するものです。2025年8月にキーウでの開始が予定されています。
「ウクライナの民間セクターは、非常に高いレジリエンスを発揮してきました。適切な改革を行えば、経済的なポテンシャルは極めて大きいと言えます」と、IFCのヨーロッパ・ラテンアメリカ・カリブ海地域担当副総裁であるアルフォンソ・ガルシア・モーラは述べています。「IFCは、民間資本の動員、イノベーションの促進、そしてウクライナのEU加盟に向けた歩みの支援を通じ、同国の復興を引き続き強く支援していきます。」
世界銀行グループはロシアによる侵攻開始以降、ウクライナの復興支援の最前線に立ち、これまでに780億ドルを超える資金を提供してきました。そこには、直接財政支援、インフラの復旧、そして社会サービスの強化や重要不可欠なセクターの再建に向けたプログラムが含まれています。
IFCは2022年2月以降、ウクライナの民間セクター支援に向けて24億ドルを提供しており、そのうち9億800万ドルは資金動員によるものです。ウクライナのためのエコノミック・レジリエンス・アクション(ERA)プログラムは、ロシアによる侵攻後のウクライナ民間セクター支援に向けて、IFCが今後短期的に展開する投融資およびアドバイザリー業務の基本的な指針となる枠組みです。これまでの支援パッケージには、IFCの自己勘定による資金提供分に加え、リスク軽減を目的とした複数の開発パートナーによるブレンド・ファイナンスを通じた支援も含まれています。IFCのウクライナのためのERAプログラムの詳細は、こちらをご覧ください。
世界銀行グループの保証プラットフォームを担うMIGAは、投資家や融資機関向けにリスク軽減のための保証を提供し、必要不可欠なプロジェクトへの融資を促進する中で、重要な役割を担ってきました。2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、MIGAは同国において4億4,800万ドルの新規保証を発行しています。今回のウクライナ復興会議においてMIGAは、同国の金融セクターの強化および中小企業の金融アクセス改善を目的とした2件のプロジェクトに対し、1億8,500万ユーロの新たな保証を発表しました。詳細はこちらをご覧ください。
世界銀行グループは、支援パッケージの一環である取り組みを通じ、企業の事業継続を後押しし、政府による基礎的な公共サービスの提供、賃金の支払い、学校や病院の運営継続、そして重要な修復作業の実施を可能にすることで、これまでに2,000万人を超えるウクライナ国民を支援してきました。
IFCについて
世界銀行グループの一員であるIFC は、途上国の民間セクターに特化した世界最大規模の国際開発機関です。途上国で市場と機会を創出するため、IFCは持てる資金、知見そして影響力を活かし、世界100カ国以上で活動しています。2024年度、IFCは途上国の民間企業と金融機関に対し、過去最高となる560億米ドルの投融資を承認し、居住可能な地球において貧困のない世界の実現に向け、民間セクターによる解決策の活用や民間資金の動員に取り組んでいます。詳細はhttps://www.ifc.org.をご覧ください。
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